ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

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まぁ、いわゆる雑記。

 景二 有明海上 佐鎮~鹿屋D航路



 西の水平線が赤く染まっているのを右舷に据え、旗艦『妙高』は艦首を南に、穏やかな海の上を進んでいる。
 沖ノ島沖で展開した大規模海戦は、かろうじてこちら側の勝利に終わり、ヒナセたちはやっとのことで任を解かれた。佐世保鎮守府に一時寄港して諸手続をすませたあと、旗艦を『妙高』に替えて鹿屋への航路を取った。やや大きな迂回ルートであるD航路を取ったのは、休息を取りながら帰投したいためである。鹿屋に戻れば別の諸手続が待っている。やらねばならないことを先延ばしにするのは良いことではないが、今はとにかく疲れを取ってやりたいというのが、ヒナセとカワチの共通の気持ちだった。
 特に『鳳翔』は補給任務時と漂流艦回収時の大騒動で、飛行甲板や格納庫どころか艦内までドロドロに汚染されまくり、鳳翔自身も疲労困憊のために実艦形態での運用が困難な状況になってしまった。沖ノ島沖の作戦海域から佐鎮に帰投するまでは、かろうじて旗艦としての勤めを果たしたことを賞賛すべきだろう。佐鎮で入渠させることも考えたが、鳳翔自身がそれを嫌がったので、ヒナセはカワチの進言を受け、旗艦を『妙高』に移した。現在、旗艦『妙高』の艦長はカワチ少将が、航海長は妙高務めている。
「とにかく、だ。返却先がわからない艦娘たちを、まずどうするか決めないと」
『妙高』の防空射撃所で、ヒナセは寒さに震えながら言った。手に持ったココアが光の速さで冷たくなっていくのを、手袋越しにひしひしと感じる。
「ですな。とりあえずは鹿屋基地に戻ることが先決でしょう。あとはアサカ次長に相談するしかないのでは?」
「だねぇ……佐世保を出る前に暗号電文でざっと報告はしてあるから、処理は速いと思いたいんだけど」
「基地(自分ち)に返りたい空気がダダ漏れですよ、司令官」
「だって、寒いんだもん」
 ココアを飲もうとしても歯の根がカチカチ震えて上手く飲めない。
「じゃあせめて指令艦橋で話をすればいいのに」
「情報漏洩が怖い」
「……確かに」
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