ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

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まぁ、いわゆる雑記。

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 それでもまだ午前中は、高曇りではあったけれども、海自体は穏やかだった。
 気象予想を聞かされていない者たちは、気温が低く風が身を切りそうなことを除けば、まぁまぁ悪くない天気だと思っていた。冬のこの海域にしては、波が穏やかだったからだ。天気予想を知っている提督たちの一部も、今日はこのまま穏やかに一日が終わってくれるのではないかと、心密かに期待していた。
 だが。当たって欲しい予想は当たらず、当たらなくていい予想が当たるのは、世の常。昼過ぎから急激に気温が下がり始めたかと思うと強い風が吹き始めた。低い気温に強風のコンボで、体感温度は確実に氷点下になっていく。
 そうこうしているうちに、一四二七(ヒトヨンフタナナ)に強風注意報が、一六二三(ヒトロクフタサン)に強風波浪警報が発令され、全艦隊は予想されるさまざまな事態に備えて警戒厳の体勢に入った。
 そして現在――一七五五(ヒトナナゴーゴー)。さらに強くなった風は、海も空も区別なく世界のすべてを切り裂いて、この世のすべてを呪うかのような雄叫びを上げている。



「……なんでこんなトコに居続けなきゃならないんだ……」
 うねり揺れる旗艦『鳳翔』の羅針艦橋で、鹿屋基地第三部三六課課長(第三三六分基地司令官)・海軍少将ヒナセヒナコは憮然としていた。
 この海域に来てから、何度同じ言葉をつぶやいただろう。今日に至っては寒すぎて歯の根がずっと合わないし、鼻から水まで垂れそうになっている。両足を踏ん張りつつさらに手で体を支えてはいるが、少しでも気を抜くと即座に転倒しそうだ。
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