2018.09.17 Monday
「繋いだ手が熱を持つ」で始まり、「全てを込めて「ありがとう」」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
#書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664
次、聖蓉で。
…おのれ、佐藤め……(常套句。
#書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664
次、聖蓉で。
…おのれ、佐藤め……(常套句。
繋いだ手が熱を持つ。
よく知っている手なのに何故だろう……と聖は思った。
触れあっている指先が微かに震えている。
何を動揺しているのかしら? ……と、蓉子は思った。
ふたりで意識して手を繋いだのは、出会ってから何年経った後のことだったろうか。そしてそれから何年が経ったろうか。
――いつも触れているのに今さら緊張するなんて。でも蓉子の手はすごく安心できる。すごく好き。
聖は視線を上げて「えへっ」と照れ笑いしたつもりだったが、蓉子には「にょへ」っと笑ったようにしか見えなかった。
――いつもながらなんて間抜けな顔をするのかしら。でもこの顔を見てると、何もかも吹き飛んで、どうでもよくなるのよね……。
有り体に表現すれば、単に「好き」という感情なのに、どうして自分は回りくどいのだろうと蓉子は内心思った。しかし顔には出さなかった。
「あー……今日はいい天気だよねぇ」
視線を空にやって、聖はのんびり言った。蓉子も空を見上げた。
「そうね。お布団を干せば良かったかもしれないわね」
蓉子はそう言いはしたが、住んでいるマンションを出たのは夜明け前だったし、今日は帰宅しない予定なので、単に言葉を定型文で繋いだだけということを二人は承知していた。でもそれで構わない関係なのだった。
今日は二人がひとつ部屋で住み始めた記念日。
今年はオフを合わせることができたので、赤いぶーぶー(聖はこれを密かに「よーこ号」と呼んでいる)に乗って、西へ西へと走ってきた。秋の空に筋雲が何本も走っているけど今日は快晴。乾いた風が気持ちいい。そして富士山が丸ごときれいに見えるとくれば、もう最高のシチュエーションではないですか。
だからうっかりその気になって、聖は蓉子の手を取ったのだった。
だからうっかり聖の気分に乗ってしまって、蓉子は聖に手を取られたのだった。
――まぁなんだ。気分が高まっちゃったなら、ちょっと早いがここで言うしかないか。
聖は覚悟を決めた。……ホントは今日のディナーのときに言うつもりだったんだけどね。
――まぁなんだ。ちょっと早い気はするけど、シチュエーション的には最高ではないですか。
蓉子はいつでも受入体制オッケーなのだった。
「なんといいますか……その……」
聖は勇気を奮い起こす。そして言葉に全身全霊すべてを込めた。繋いだ手に、ぎゅっと力がこもる。
「ありがとう。いつもいつも、ホントにありがとう」
そこまで言って、聖は胸がいっぱいになってしまった。それ以上言葉が続かない。なんだか涙が出そうになってる気がしたので奥歯を噛みしめていると、目の前にいる蓉子がにっこりと微笑んだ。
「こちらこそ、いつもありがとう。愛しているわ、聖」
聖の目には、花がふんわりと大きく開いたように見えた。
文字数1187。ちょっと? 多いですね。
まぁいいや。←
…やや視点がブレてます。
これは後日リファインが必要かなって。