2014.03.10 Monday
最終的にぶーぶーが止まったところは、玄関のほうに曲がった角を曲がらずに、さらに入った先にある掘っ立て小屋の前だった。掘っ立て小屋の中にあった赤い方の車がなくなっていて、じつはそこに私のぶーぶーを入れる予定だったと、久世さんは言った。
「あとでクルマ屋さんを呼びましょう。腕のいい人が近所にいるんです。……ああ、これは着替えなくては」
私も久世さんも汗だくだった。
「とにかく聖さん、シャワーで汗を流しててください。新しい作務衣を持ってきますよ」
そんなことを言っていると、表に車が入ってきたような音がした。
「おっと……間が悪いときはこんなもんですねぇ」
久世さんが苦笑した。
汗だくのまま、お客さんを出迎えないといけなくなっちゃったかと思っていたが、そうはならなかった。
お客さんはまだ気持ちが落ち着かないということで、誰にも会わずにそのまま、宿坊に入ってもらったと、戻ってきた志井さんが久世さんに報告した。
宿坊とは、この寺にある宿泊所のことですと、久世さんが教えてくれた。
久世さんも私たちに起こったちいさなトラブルを志井さんに報告した。
「それでお二人とも、汗みずくになってらっしゃるんですね。お二人ともすごい格好になってますよ」
志井さんはそう言ってクスクス笑った。久世さんもだが志井さんもよく笑う人だ。
それから志井さんの指示に従って、まずは久世さん、そして私の順にシャワーを浴びて着替えた。シャワーから出てきたら、さらに新しい下着とTシャツと作務衣が用意してあった。