ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態― STUDIO L Webん室

まぁ、いわゆる雑記。

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 ゆんべ、ちょっと多めに書いたので、ちょっと楽になったし。←



 風呂に入っているあいだじゅう、久世さんは脱衣場にいて、志井さんが連れて帰ってくるお客さんと少々面倒な話をすることになるかもしれないと話してくれた。
 お客さんは女性で、久世さんたちも初めて会うのだそうだ。なんでも悩みを抱えているらしく、このお寺の噂をどこかで聞いて訪ねてきたらしい。お寺の噂というのはほかでもなくて、いわゆるここは駆け込み寺として数年前から知る人ぞ知るところになっているのだとか。来る者拒まずなので、基本的には男女の別なく受け入れているそうなのだが、なぜか女性ばかりがやってくるとのこと。
「志井さんひとりで寺(ここ)を守っていることも多いので、その点では安心なんですがね」
 自覚があるのかないのか、しっかりのろけまで聞かされた。
「……で、どうして私まで、作務衣に着替えるんです?」
 脱衣場から出るそぶりを見せると、久世さんはやや慌てて廊下に出て行った。そして扉越しに話をする。……別に今朝、裸を見合ったんだから、そんなに気にしなくてもいいのに。
「ご先方はかなりナーバスになってらっしゃると、保護して下さっているご門徒さん宅のお婆さんが、仰ってるんですよ。なので、先客があるというよりは、全員この寺の関係者だと勘違いして頂いていた方が、気持ち的に楽かなって思いましてね」
 ……なんとも回りくどい設定である。しかし納得できる話でもある。納得できれば大いに話に乗っちゃうのが佐藤聖クオリティですよ。
「なるほど、まかせてください。お坊さんでも八百屋さんでもなんでも演じましょ」
 そう言ったら
「いや、坊主見習いのふりをして、大人しくお茶を持ってきてくれたら、それでいいです」
と、苦笑しながら返されてしまった。ちぇ。
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