ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態― STUDIO L Webん室

まぁ、いわゆる雑記。

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 なんとか崩さずにまとめることができたので、そのまま進行。←



 そんなわけで、はじめて来た家、はじめて入った部屋だというのに、私はすっかり馴染んでくつろいでしまった。久世さんはお茶のおかわりをしやすいようにと、私を座らせたその横に、保温ポットののった専用のローボード――動かしてもポットが倒れないように、天板に穴が空いているタイプのものだ――置いてくれていた。だから、出されたまんじゅうを二つ食べ、二杯のお茶を飲み、それでもまだ喉が渇いていたらしく、三杯目のお茶をいれようとしているところに、久世さんと志井さんがやってきた。久世さんはさらにきちんとしたお坊さん姿になっていた。つまりは、夏コートを脱ぎ、着物を着替え、輪っかになった袈裟を首から掛けている。着替えると言っていたから普段着になるものとばかり思っていたので少々驚いた。
「聖さん。もしかしたら、少々お手伝いをして頂くことになるかもしれません」
 久世さんはにこ、と笑っていった。
「……あ、はい。いいですよ。私にできることならなんなりと」
 笑顔につられてついつい口走る。
「……で、何をお手伝いしたらいいんですか?」
「ええ……ちょっと……。とりあえず、今から志井さんは、下の集落に、とあるお客さまを迎えに行きます。戻ってくるまでの間に、これに着替えて下さい」
 差し出されたものは、濃紺色の作務衣だった。そしてTシャツと新しい下着も。
「お着替えをお持ちでないようだと院家に伺ったので。急な来客用のストックで申し訳ないのですが、お使い下さい」
「そんなワケで、お風呂。たててありますから、こちらにどうぞ」
 お坊さんという人たちは、自分たちのペースに人を巻き込むのがうまいな……と、いちいち志摩子の父親を思い出したくなる物事の運びようだった。




 ちらりちらり…と、既存の原作キャラを出すという手法は、こういうかなりオリジナル色が強い話を書くときには有効な手だし、使ってて面白いんですけど、やりすぎるとあざとくなるので、ご用心(w。
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