2014.03.02 Sunday
戸の前で笑いあっていると、中から女性の声がした。
「ご院家(いんげ)、お客さまがお疲れじゃないですか? 新M港からずっと運転されてたんでしょう?」
久世さんよりも高めの、でも柔らかい響きの声だった。
「ああ、そうでした。どうぞ、お入り下さい」
促されて中に入ると、玄関框(げんかんかまち)の上で、やや白くくすんだ紅っぽい色の作務衣を着た女の人が、中腰で膝をつきその膝の上に手を置いた姿勢で私たちを迎えてくれた。こういうのって、旅館とかで従業員の女の人たちがお客よりも頭が高くならないように、でもすぐ荷物を受け取ったりってサービスをするために膝突きの中腰で挨拶してるのくらいしか見たことがない。まさか個人宅でこんな場面が展開しようとは夢にも思ってなかったから、ちょっとびっくりしてしまった。
「いらっしゃいませ。当山の坊守をしております志井縁(しい・ゆかり)と申します。住職からメールと電話でお話は伺っております。とりあえず、お上がりになって下さい」
そう言って志井さんは床に手をついてお辞儀をした。
「あ……ああ、いえいえ。すみません。いきなり押しかけてしまいまして。えーっと……私は……」
「佐藤、聖さん……でいらっしゃいますね?」
顔を上げた志井さんは、にっこりと笑い、そしてすらりと立ち上がった。予想してたよりも背が高かった。これにも驚いた。
「ま、上がって下さい」
すでに框にあがった久世さんが、おいでおいでと手をひらひらさせる。
「……ご院家、おイタが過ぎますよ」
久世さんの荷物を二つとも受け取った志井さんが、そう久世さんにやわらかくつぶやいて、家の奥に消えていく。
ちょっと文章がグダグダ。
まとめるときにはごっそり削っちゃう部分かもしれません……が、後ろ3行は載ります。ええ。ここは絶対に削るもんかwwww (お気に入り箇所らしい。←
『木槿』と『九苑』、同時進行でちょうどいいらしい……と思いました(w。
キャラが動いてくれるので、両方とも書きやすくなった<ケガの功名。