2014.02.28 Friday
「これがウチ山門……ということは、さっき通った門はなんて言うんです?」
ぶーぶーから降りて久世さんの荷物をひとつ持ち、さっき脇を通り抜けた門を見る。まさか志摩子んちよりも広大な敷地のお寺だとは思ってもなかった。
本堂の建物を見ると“妹”の自宅のそれよりは小さめだけど、でもその横につながってるたぶん平屋っぽい部分と、その縁側が伸びた先にくっついてる別のお堂もそこそこ大きい。真ん中の部分と取っ払った平等院鳳凰堂を、両端からぎゅっと押し固めたような感じだった。もちろん色味は黒と白と茶で、物静かなたたずまいなんだけど。
「下のは、対外的には『外山門(そとさんもん)』とか『表山門(おもてさんもん)』とか。でもね、面倒だから、ふだんは『外門(がいもん)』と『「表門(おもてもん)』と、言ってます。ご門徒さんもね」
「なるほど。内山門の字が分かりました」
「おやそうですか。それはよかったです」
久世さんは大きく口をあけて「あははは」と笑い、歩き出した。なんだかウキウキそわそわして、地に足がついてないような感じだ。
「さ、こちらです。遠慮なく」
略式だというお坊さん姿(袈裟なし)の上から夏用の和コート。足は足袋に雪駄履き。頭には利休帽。そんな出で立ちなのに、久世さんの足取りは速い。そのうえあまり足音がしない。ジーンズにスニーカー履きの私のほうが、靴の底をうっかり擦って、ジャッジャッと大きな音がする。どうやったらあんなふうに音を立てずに歩くことができるんだろうと思いながら、私は久世さんのあとをついてきいく。スカートのプリーツを乱さないようにセーラーカラーは翻らせないように……とやっていたのはいつまでだったか。いや、そもそも私はそんなことを気にしたこともなかったっけ。
実に実に、3年ちょいぶりの連載再開です。去年1年はなにもできなかったとは言え、その前の丸々2年は何してたんでしょうね、この人。←
オリジナル小説『九苑 -くおん-』 の主人公・久世さんと志井さんが生まれたきっかけの一つがこのSSでした。すでにSSって長さじゃなくなってるとけどな(現時点で400字詰め60枚以上になってる。←
これを終わらせてやらないと、姉妹編の『ジュズダマ』が進められないのです。
『ジュズダマ』もマリみてSS(しまのり…でも志摩子さんは出てこないw)ですね。
『ジュズダマ』と『木槿』は『九苑』と切っても切れない関係にあります。
そして、『木槿』に『九苑』の根幹的なネタバレが入っていることを、ワタクシはすっかり忘れてました(オイ。
連載してたの、3年前ですからねぇ。
そんなワケで、連載にはなりません(撲殺。
該当のところが来たら、止めると思います。
それが早いか、『九苑』の該当部分を先に書くのが早いか。
現在『九苑』は4話目を執筆中です。そして5話目をアップしたら『木槿』を終結させて、それから『ジュズダマ』と『九苑』を並行進行で仕上げていけたらいいですねぇww