2011.01.06 Thursday
目的地はもうすぐかとおもいきや、またもや田んぼの中や小さな集落をいくつも走り抜け、細い道しかない山の中に突入した。
この道、アスファルトがところどころ剥げかけてる上に、道ばたの草が道の領域を左右から圧迫するごとくせり出してて、どこまで本来の道かよく分からなくなってるときたもんだ。
「こ、こんなトコで対向車が来たら、離合できないかも……。」
ちょっと泣き言を言ったら、久世さんは何食わぬ顔で
「大丈夫。来ませんから。」
と言う。S
ホンマかいな? と思いながらソロソロ走る。通り抜けてみれば確かに対向車は1台も来なかった。しかし寿命が縮まったことは確かだ。
生まれてこの方、それなりに整備された道しか走ったことがないのである。ひとつハンドル操作を誤ったら藪に突っ込みそうな、その藪の向こうに地面があるとは限らなさそうな、そんな道を走るのにはなかなか勇気がいる。その上ところどころに大きな穴が開いていたりして、赤い小さなぶーぶーは、「ぼこのんぼこのん」と揺れに揺れまくる。
自分の内蔵がでんぐり返るような感覚を味わっていると、助手席に乗った金色頭のお坊さんがのほほんと言った。
「いやぁ、この道ちょっと通らないうちにずいぶん荒れちゃってますねぇ。これなら遠回りなんですけど、もう一つの道の方が良かったかもしれませんね。」
「えぇー。それなら先に言ってくださいよ。そっちに行ったのに。」
「いやそれが、そっちの道を通ると山すそをぐるーっと迂回するので、さらに一時間近く走ることになるんですよ。」
「……。」
もう一本の道がものすごく気になる。これがとてもきれいに整備された道だったら、一時間長く走っても構わない。
私は前後左右に大きく揺られながら、かなり本気で思った。
とっとと寺のシーンから再開しようかと思ってたんですけど、つい。