ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態― STUDIO L Webん室

まぁ、いわゆる雑記。

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 それは小学校一年の時でありました。…もしかしたら2年の時だったかもしれない…。

 図画工作の時間で、学校から持ってくるものの連絡帳がありました。
 ・ハサミ

 ・ノリ

 ・ボンド



 …当時何を作っていたかゼンゼン記憶にありませんけど、とにかく、「ボンド」を持ってこいとの先生のお達し。

 ハサミとノリは母に言って事なきを得ました。…糊は母がその場でゴハン粒をつぶして作ったものだったことは、この場は内緒にしておきましょう。母は言いました。

「ノリはコレがいちばん良ぉくっつくとよ」

 いたいけで素直だったこの頃の雅は、この言葉をとても信じました。幼稚園の時から使っていた、ゾウちゃんのノリ入れに入れて貰いました。



 さて、ボンドのことを母に言いますと、彼女はこう言いました。

 「そら、とーちゃんに訊きない。とーちゃんなら持っとろう」

 そこで、父に「ボンドを学校の工作で使うので、出してくれ」と言いました。

 「それはお安いご用」と彼が出してくれたのが、件のエポキシボンド(たぶん30分か60分硬化型)でございました。懇切丁寧に使い方―A材とB材を同量混ぜ合わせて使う―も教えてくれました。…何も知らないイタイケな子供だった雅は、なんの疑いもなくそのボンドをもらって、次の日学校へ持っていきました。



 …そう、そこに落とし穴があろうなどと思うはずもございません…。



 次の日、図画工作の時間になって、ボンドを使う段になって、事件は起きました。

 激烈臭い上に、ほかの子が使っているボンドとは何か違い、そしていつまで経ってもくっついてくれません

 子供のすることですから、手際もよくなく、はみ出たボンドが手にくっついてとてもひでー目にあいました。匂いも、いつまで経っても取れません。仕方ないので先生に持ってきたボンドを見せると、「コレはボンドではない」などと言ってくれます。ついでに「何でこんなものを持ってくるのだ」という、子供にはうまく答えられない事まで訊いてくれやがりました。

 しどろもどろになりながら、昨日のことを正直に先生に申しますと、彼女は不審げに小首を傾げています。

 手はベタベタして気持ち悪いし、気持ち悪い臭いはいつまでも体にまとわりついてるしで、心底泣きそうだったのは言うまでもありません。子供ゴコロに、誰を責めていいのかもわからないまま、結局は親にちゃんと説明できなかったらしい自分を責めているうちに、工作の時間は刻々と時間を刻んでいきます。その後、仕方なさそうに先生が透明のGボンドを分けてくれて工作は続けましたが、もちろん目的のものはできあがりませんでした。



 さて、この時点でいちばん罪深い人は誰でしょうか?





 …なんて冗談はさておき。



 その日家に帰って父に事の顛末を話しましたが、やはり要領を得ず、なせか「使い方が悪い」と大目玉を喰らってボンドを取り上げられました。泣くに泣けないとはこういう事をいうのだな、と子供ゴコロに思いました。



 以後、二液式ボンドとはお目にかかることはなく、無事平穏に日が過ぎていましたが、約20年後に仕事で使う事になったときに、このいや~な記憶が掘り起こされてきました。



 そら くっつかんわな、長時間保定しておかないといかんボンドちゅーのがわからんのだから。イヤな記憶が思い出されたと同時に、何が悪かったのかも判明した一瞬でした。

 以来エポキシボンドは仕事の上で必要不可欠な代物となりましたが、使うたびに、あの日のヤな記憶と激烈な臭いに辟易しながら作業を続けています。



 …臭いが記憶の源流になってるらしいから、せめてアノ臭いがなければ、幸せなのにナァ…(ため息)
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お工作の時間。


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