ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

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まぁ、いわゆる雑記。

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 作戦参加艦艇への補給がほぼ終わって、『鳳翔』はヒナセ艦隊に返却された。仮オフィスと補給物資の一部が載せられていた飛行甲板は、見るも無惨な状態になっていて艦載機の発着ができる状態ではなかった。ここでもヒナセの怒りゲージは下降するどころか上昇をするばかりで、このあたりからことあるごとに「なんでこんなトコに……」を口走り始めていた。もう自分の基地(おうち)に戻りたい。じゃなければせめて鹿屋に帰りたい……そればかりがヒナセの頭の中でぐるぐる回っていた。

 さて物資がなくなったからお役御免かと思っていたら、今度は補給艦だけ鹿屋に戻してそのまま海域に留まれという命令が出た。補給船団護衛艦隊司令部に不穏な空気が走ったことは言うまでもない。簡単な会議(立ち話とも言う)が開かれ、さすがに戦闘海域のなかを補給艦だけ帰すわけにはいかない、ということになり、カワチ提督指揮の第二戦隊が戦闘海域の境界線あたりまで、その先は重巡『足柄』を中心とした一部の艦に佐世保までエスコートさせると作戦司令部に申告。なんとか了承を得て実行することになったが、ここでも一悶着あった。寄り集まり所帯ならではのグダグダ運営と言えばそこまでの話だが、作戦司令部の人心掌握の稚拙さは目に余るものがある。
 はじめ、作戦司令部は補給艦の護衛すら裂くことすら嫌がっていた。この頃にはヒナセたちも、どうやら今作戦の状況はあまり良くないようだと、薄々気が付いていた。そうでなければ単なる補給船団の護衛艦隊にまで、戦闘海域への残留を命じる理由がない。結局、作戦総司令部の無謀な要求を黙らせたのは、もしもの時にと持たせられていた伝家の宝刀、つまりはアサカ中将の信書であって、ヒナセやカワチの功績ではない。
『護衛艦隊を含む貸出の艦船を無駄に損失するような運用が認められた場合には、それ相応の措置を取らせて頂く……云々』
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