ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態

ぼえぼえ―お道楽さま的日常生態― STUDIO L Webん室

まぁ、いわゆる雑記。

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 追いつかれそうになっては書き足し書き足し。←



「んー……うまく言えないんですけどね」
 そう言葉を濁して締めると、久世さんと志井さんはお互いに顔を見合わせて、三秒ほどあとに、ゆっくりとうなずき合った。
「わかりました。その気になったら仰って下さい。それと、泊まって頂く部屋を、この庫裏側に用意しました」
「当山のお客さまではなく、私たち個人のお客さま……しばらくは、院家の遠縁ということで」
「泊まる? ……しばらく?」
 はて、そんな話どこかでしたろうか? 今日はともかく、明日には帰路につこうと思っていたんだけど。
「ああ……実はね、クルマ屋さんに来てもらって、見てもらったんですよ、聖さんの車」
「はい……それはありがとうございます」
「私の車のバッテリーと聖さんの車のバッテリーを繋いでなんとか動きはしたんですけど、かなり無理をしすぎてあちこちガタがきてるから、このまま関東まで運転して帰るのは危ないってことで、クルマ屋さん、車を持って帰っちゃいまして」
 ……え? えええええー―――――――!!!
 驚きは声にならなかったが、表情がとても物語っていたと思われる。久世さんはとても恐縮した顔でこう言った。
「風呂に行く前に電話したんですけど、まさかあんなに早く来て、乗って帰ってしまうとは思わなくて。……すみません、腕はすごくいい人なんですけど、めずらしい車種が大好き人でして。車といわず、単車といわず……」
 そうかもしれないけど、そうかもしれないけど。
「……あとで、カメちゃんの車を届けに行きますから、一緒に行きましょうね」
 ……ああ、マリアさま。一〇〇〇kmも、黙って遠出した罰が当たったんでしょうか……て、ここはお寺だよ。お釈迦さまに訴えたほうが、筋が通っているんだろうか?
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